東日本大震災では多くの人々、犬や猫などの動物たちが被災しました。しかし被災した動物の数は自治体でも把握しきれていません。今なお保護活動が行われていますが、私たちにはその現状を知ることさえ難しいのです。
「まだ新しい犬は飼えないけど、いつかまた…」津波で愛犬を失った夫婦が、喪失を受け止めてゆく長い道のりに寄り添いました。津波を生き延びた男性と野良猫が再会し、次第に家族となっていく姿など、いくつもの別れと出会いを見つめます。
原発事故に翻弄される福島では、取り残された犬や猫を待っていた苦難が今も続き、飼主やボランティアの人々の複雑な思いが交錯します。
残されたのは犬や猫だけではありません。被ばくした牛たちを生かすべきか否か、畜産農家とボランティアの人々が立場を越えて困難に立ち向かう姿を通して、いのちの意味を問うていきます。
監督は、宮城県出身の映像作家・宍戸大裕。変わり果てたふるさとに戸惑い、カメラを向けることが出来ずにいた監督。しかし、懸命に生きる動物たちと彼らを救おうと奮闘する人々と出会い、600日に渡り正面からいのちと向き合っていきます。
プロデュースを手掛けたのは、一人の猫好きのおばあさんの「不幸な犬猫を減らしたい」という思いから生まれ、09年に劇場公開され話題となった『犬と猫と人間と』の飯田基晴。本作はスクリーンを見つめる私たち自身がともに生きるいのちについて考え、未来へと繋いでいくための物語なのです。